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「ナオミとカナコ」

7月23日 奥田英朗「ナオミとカナコ」★★★★☆

去年だったか、広末涼子と内田有紀主演でドラマがありました。ドラマを見て、原作を読みたかったので、図書館で借りて来ました。
内田有紀演じるカナコの夫がDVで、広末涼子演じる親友のナオミと二人で夫を殺すのですが、完全犯罪と思われた犯罪がほころびだらけで、ハラハラさせられました。
前半はキャリアウーマンでしっかり者のナオコが中心で、後半は大人しいと思われるのにいざという時に根性が座っているカナコが中心に話が進みます。
今時、どこにでも防犯カメラがあるよね、と思いながら読んでいました。案の定、防犯カメラから犯罪がばれていきます。追及する夫の妹・陽子(テレビでは姉役で吉田羊)が、映画「ターミネーター2」の殺しても殺しても起き上がってくる殺人者のようで怖かった~
二人の味方となる中国人の李女社長が原作でも面白く、テレビでは演じた高畑淳子の評判が良くていろんな賞を取ったそうです。いわゆる「もうけ役」ですね。
ラストは、二人が逃げ通したのか捕まったのか、原作もテレビもはっきりとはわかりません。
読者としては、犯罪者ではあるが二人に逃げ切って幸せな人生を贈って欲しいと願いました。

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「自覚」「臥龍」

6月20日頃 今野敏「自覚」-隠蔽捜査5.5-★★★★☆
電車に乗る時に読もうと買っていた文庫本で、図書館で借りた宮本輝さんの小説より先に読んでいました。
私が大好きな隠蔽捜査シリーズのスピンオフ短編小説集です。
隠蔽捜査では脇役であった人達が、一話ずつ主役になってストーリーが進んでいきます。といっても、目立ってしまうのは、やはり隠蔽捜査シリーズの主人公・大森署署長の竜崎伸也と変わり者の戸高刑事。先日まで放映していた日曜夜九時の「小さな巨人」で変わり者の刑事役をしていた安田顕さんが、隠蔽捜査シリーズで戸高役をやっていたのですが、「小さな巨人」が真似をしたと思ったほど、あれは戸高刑事でした。
7話の短編集ですが、どれをとっても面白くて読み応えがあります。
しかもぐっとくるシーンがあるので、電車の中で読んでいて涙をこらえるのに苦労した作品もありました。

7月1日 今野敏「臥龍」-横浜みなとみらい署暴対係-★★★☆☆
今野敏さんの小説を読みたくて、図書館で借りて来ました。横浜みなとみらい署もシリーズしているそうです。しかしドラマ化や映画化はされてなさそう。時にはユーモアたっぷりの隠蔽捜査シリーズと違って、ちょっとドラマ化がし難そうな内容でした。
今度は安積班シリーズに挑戦しようかと思っています。

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「田園発港行き自転車 」

6月25日 宮本輝「田園発港行き自転車 」上・下★★★★☆
図書館へ石原慎太郎の「天才」を返しに行った時、宮本輝さんの新刊があったので借りて来ました。
図書館の返却期間は2週間ですが、延長して読むのに4週間かかりました。
家でしか読まないので、一冊読むのに時間がかかります。
何組かの家族が出てくるのですが、舞台は主に富山県の滑川市と京都の祇園あたりが宮本輝さんの筆によって魅力ある土地に描かれています。
特に、富山の描写が素敵だった。
ゴッホの「星月夜」に似た景色が見れる愛本橋。ホタルイカ漁で見るホタルイカの青白い光。立山連峰の四季折々の風景。一度行ってみたい、と思わせてくれます。
ストーリーは家族同士や友達同士、知り合い同士が複雑に絡み合って一枚の布を紡ぎあげていくよう。宮本輝さんの面目躍如といったところでしょうか。
登場人物に心根の悪い人が出てこないのがいいですね。
小説の中であっても、悪意のある人間にはなるべく出会いたくないものです。

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「天才」

5月22日 石原慎太郎「天才」★★★★☆

去年の今頃、図書館に予約していて、忘れた頃に取り置きが出来たとメールが来ました。
田中角栄元首相を描いた、2016年度に一番売れた本だそうです。
田中角栄元首相の「俺」という一人称で書かれた自伝風小説です。
今太閤と呼ばれ頂点へ登りつめた田中角栄元首相は、ロッキード事件をきっかけに首相の座を下りますが、その後も多量の票を集め議員を続けます。
ロッキード事件については、もちろん無罪を主張。
アメリカのメジャーに依らぬ資源外交がアメリカの逆鱗に触れ、アメリカが策を講じてロッキード事件によって田中角栄を葬った、と書いてありました。
真偽のほどはともかく、今は田中角栄のような政治家がいないと嘆く人が大勢いることは確かです。
***数字に強い、駆け引きが上手い、義理人情を欠かさない。それが高等小学校出の男が伸し上がる武器だった・・・***
本の中に出てくる、田中角栄元首相を表現する文章です。
今日も失言した議員のニュースを見ましたが、時代が違うとはいえ、今の政治家とは人間の格が違うのでしょうね。

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「あきない世傳 金と銀(3) 奔流編」

3月10日 高田郁(かおる)「あきない世傳 金と銀 奔流編」★★★★★

前回の早瀬編を読んでから半年たちました。半年に一度の出版でも、ストーリーは覚えています。
前回は、天満の呉服問屋「五十鈴屋」の四代目徳兵衛の後添いになった幸(さち)が、四代目に死なれ四代目の弟の惣次が五代目を継ぐ条件に、幸を嫁に欲しいと言ったところで終わっていました。
五代目徳兵衛を継ぐ惣次は商売には敏腕ですが、人の心の機微がわからない冷たい夫です。控えめで可愛い妻は好きですが、自分より頭が良くてアイディア豊富な妻は苦手みたいです。
いるんですよね、こういう男。会社にもいたわ。
女性なんて、口だけでも「有難う。良くやってくれるね。感謝してるよ」と言ってくれるだけでなんぼでも働くのに、自分より前に出る女性には対抗心を持つのです。
幸は賢いので、次回は五代目を掌で上手に転がして、商売をしていくのでしょうか?
それとも五代目に対抗して自分なりの商売を展開するのでしょうか?
本当に、この小説は次が待ち遠しくてなりません。

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「関ヶ原」

2月 司馬遼太郎「関ヶ原」上・中・下 ★★★★★

もうずいぶん前に読み終わったのですが、長い小説でもあり感想文を書けずにいました。
「関ヶ原」は1966年、司馬遼太郎先生43歳の時の作品。40年も前の作品ですが、先生がいわゆる油の乗り切った働き盛りに書かれた小説です。
主人公は、石田三成、島左近、そして徳川家康です。
豊臣政権当時、「三成に過ぎたるものが二つある 島の左近と、佐和山の城」と童謡に唄われたとのこと。
石田三成は秀吉からもらった知行のほぼ半分の一万五千石で島左近を召し抱えました。島左近は実戦の武士であり、その時は、後に三成が天下分け目の戦いをする一方の旗頭になるとは思ってもみなかったことでしょう。
佐和山城は今の彦根市にあり、関ヶ原の戦いの後、井伊直政が城主になるが新たに彦根城を築城した後、廃城となりました。行ったことはないのですが城址が残っていて、彦根城の天守閣から見たら、佐和山城方面と書いた案内図があり、すぐ近くに思えました。
石田三成は世間では「へいくわい者(横柄者)」と思われて、嫌われていたのでした。
「真田丸」でも、山本耕史さん演ずる三成は言い方が簡潔過ぎて、あれでは嫌われるよね。
でも最近では評価が上がってきて、先週の「Qさま・現役東大・京大生が選んだスゴイ戦国武将」では、10位でした。ちなみに、私押しの明智光秀は同率5位でした(^^)
裏切者であったり敗け武将であったりの評価が、最近では変わってきているのだと思います。
上、中と三成と島左近のことが書かれていて、下ではほとんど徳川家康のことが書かれていました。家康はQさまでは2位だったけど、やっぱりこの人はなんとなく好きじゃないな~
8月公開の映画では、役所広司さんが演じるらしいので、どんな家康になるのか楽しみです。

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「井伊直虎」

新年明けましておめでとうございます。天気のいい暖かいお正月ですね。
本年も宜しくお願いいたしますm(__)m

12月29日 小和田哲男「井伊直虎」

11月にサイン入りで購入した新書本の小和田哲男先生の「井伊直虎」、小説ではないですが読了しました。
井伊直虎は今年のNHK大河ドラマの主人公、井伊家の女当主であった次郎法師のことです。彦根城へ行った時、資料館に井伊家の家系図があったけど、直虎の名前は見事にスルーでした。
史実上の人物だけど、認められてなかったのでしょう。
ただ直虎が養子にして親代わりとして育てた井伊直政が、徳川家康について関ヶ原の戦いで名を上げ、彦根藩の礎を築いたのです。
小和田先生のこの本にも、直虎のことはほとんど描かれていないのです。
直虎のことが資料として残されているのは、古文書が一通あるのみということ。
小説ではないので、想像では書けないのでしょうね。
「井伊直虎」というタイトルなのに、直虎のことを書いているのは1ページにも満たないのです。
大河ドラマの予習をしたくて読んだ本なのに、あまり予習にはならなかったな~

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「祈りの幕が下りる時」

10月22日 東野圭吾「祈りの幕が下りる時」★★★★☆

私がプロ作家と尊敬する東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズの最新作です。
今まで謎であった加賀刑事の母親のことが描かれています。
加賀刑事の鋭さ、推理力もますます冴えて絶好調。どうしても阿部寛さんを思い浮かべてしまうのですが。
東日本大震災で原発がクローズアップされましたが、現場で働いている人のことはいっさい公にされませんでした。この小説で、原発の闇と言うか、末端で働いている作業員のことに触れています。綺麗ごとを言っても仕方ないのですが、繁栄の陰には必ず犠牲者がいるものです。
恒例の、ドラマ化したら誰が演じるかシリーズ。
阿部ちゃんはもちろんですが、お母さん役は、風吹ジュンさんにお願いしましょう。
ゲストの主役は、夏川結衣さんで。夏川さんのお父さん役には、ぜひ大杉漣さん(この人、大好き)でお願いしますm(__)m

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「あきない世傳 金と銀(2) 早瀬編」

9月12日 高田郁(かおる)「あきない世傳 金と銀 早瀬編」★★★★★

やっと出ました。待ってましたよ!!
前回の源流編を4月に読んだので、約5か月たっています。早読みの私、ストーリーを忘れているかと思っていましたが、はっきり覚えていました。
天満の呉服問屋に奉公に出た主人公の幸、14歳から17歳までの3年間が描かれています。
まだ呉服の商売に携わっていないのですが、傾きかけた呉服問屋のお家(え)さん=祖母に、その聡さを見込まれてあほぼんの孫の嫁になります。あほぼんは廓通いをしていて、幼い幸を見向きもしないのですが・・・
ラストにどんでん返しがあり、急展開に目が離せません。
次作は、いよいよ幸が商売にかかわっていくのでしょうね。
当たり前のことですが、この時代、天満橋からどこへ行くにも歩いて行くのです。
東横堀川沿いをどんどん南に下り、長堀川と交差したところで、長堀川に沿って西に向かうと心斎橋に辿り着く・・・なんて、今の地理とまったく同じ。よくウォーキングする場所にも近いので、嬉しくなってきます^^
天満の天神さんも出てくるし、天神祭りはこの時代からあったのですね。
次回作は来年になりますね。今から楽しみでなりません(^^)

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「欠落 」

8月26日 今野敏「欠落 」★★★☆☆

前回読んだ今野敏さんの「同期」も☆3.5にしたかったと書きましたが、この小説も3.5です。ハラハラドキドキするエンターティメントな展開なら☆4つなんですが、今野さんの書き方は手堅いです。前回も書きましたが、警察の捜査は一つ一つ解いていく地道なものだと思われます。
「欠落」は「同期」の続編で、主役は同じく警視庁捜査一課の宇田川刑事。1作目にも出て来た同期の曽我、前作と同じく脇役のベテラン刑事、脇坂と土岐の他、一癖も二癖もある所轄のベテラン刑事、佐倉。宇田川と曽我の同期でSITに配属になった女刑事・大石。魅力的な刑事がいっぱい出てきます。
今野さんは若くてカッコいいスーパーヒーローでなく、地道に働くベテラン刑事を魅力的に描くのがお上手です。
これ、ドラマ化してほしいな~
ドラマ化すると配役を想像するのが私の趣味なんですが(笑)、2人のベテラン刑事は小日向文世さんと西田敏行さん、佐倉役は大杉漣さんでやってほしい。
主役の若手は関ジャニの大倉くんでお願いしますm(__)m

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