「終わった人」

3月31日 内館牧子「終わった人」★★★★☆

3月29日の日記に書いた「散る桜残る桜も散る桜」という良寛和尚の辞世の句が出てくる小説です。大手銀行から子会社の専務取締役で定年となった63歳の男性が主人公なので、この句の持つ意味が活きてきます。
東大法学部から国内トップのメガバンクに就職。エリートコースを走っていたはずなのに、いつの間にか派閥争いに敗れ、子会社へ出向、転籍。そして退職。
退職後は長年連れ添った妻と出来るだけ一緒にいようと、旅行や二人でする趣味を提案しますが、妻は仕事を持っていて時間が取れないとあえなく却下。
毎日することが無くなった主人公は、ジムへ行ってもカルチャーセンターへ通っても、心が満たされることはありません。同じジム仲間を心の中で「ジジババ」呼ばわりして、ランチや飲み会に誘われても用事もないのに断ります。20歳以上年下の女性と恋をしようとしますが、もちろん上手くはいきません。
そんな時、会社を辞めて自分の夢に向かって着々と歩んでいる友人と再会し、再び第一線に立つのですが・・・
いやぁ、面白い小説でした。
脚本家でもある内館さんは、珠玉の言葉というか、思わず「そうだそうだ」と頷く言葉と、くすっと笑える言葉が出てきます。

***定年って生前葬***
***散り際千金、相手が困る時期に辞めるものだ***
***若い人は歩数計をつけないものだ。*** 
(私は去年からつけるようになりました)

内館さんは同窓会に何度か行くうちに、還暦を過ぎ定年を迎えた人は、どんな立場の人でも着地点は同じなんだと気が付いたと、あとがきに書いています。どんなに取り繕っても、横一列なのだと。
私も経験したからわかります。確かにね~
そこからどう動き出すかは、本人次第。
満点にしなかったのは、主人公が退職した時に家を除いた財産が一億円以上以上あり、年金が年収500万円って、私の周りにはそんな人いない。私のような庶民とは一緒には出来ない話です。


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by s-jw | 2016-04-05 14:05 | 趣味 | Comments(4)

Commented by akiko-yuu-masa at 2016-04-06 17:26
シズコさんこんにちは*
内館牧子さんの小説おもしろそうですね〜。

退職するときはみんな横一線って。。

そうなんだぁって感じです。

エッセイは読みますが、なかなか小説は読みません。
でも内容をきいたら興味深いです。

⇩⇩⇩お母様、食欲が減ってるのは気になりますが、会えてよかったですね*
Commented by s-jw at 2016-04-06 18:41
> akiko-yuu-masaさん
あきこさん、こんにちは!
着地点が同じというのが、作家さんならではの感性かと・・・

母は嚥下力が弱っているのだと思います。
2年ほど一緒に暮らしていないので、前の良く食べる母のイメージが強くてショックでした。
Commented at 2016-04-07 15:06
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2016-04-07 17:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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